スケール(巻尺)

スケールは長さを測るだけの道具ではない

スケールというと聞きなれない方もいらっしゃると思いますが、単に巻尺のことです。他にもメジャーとかコンベックスという呼び方もしますがそれらすべて巻尺のことです。2mから10mぐらいまでの製品がだいたい\1,000~\3,000ぐらい、というのが一般的です。

スケールは一般的に長さを測定する道具なのですが、優れた直進性を活かして通線工具(呼び線代わり)としても使うことができます。

具体的な用途としては、点検口内から中空壁を通り真下にあるスイッチボックス穴まで通線したいとか、フロア間の隙間を利用して通線したいとか、通線スチールではクセが付いていて通しづらいケースで威力を発揮します。

また、呼び線として使うことを前提に考えられたスケールも販売されていて(呼び線としての目的が主)、天井裏の野ぶちがたくさんあるところを簡単に乗り越えていく、そういった製品もあります。

ここでは、屋内配線工事を前提にどんなスケールが便利なのか、また長さを測定するものとはちょっと違う、近所にあまり売っていないものやスケールを通線工具として使う方法もご紹介します。

スケールの選び方

ホームセンターやDIYショップなどに行くとたくさん売っていますが、そのほとんどが長さを測定するだけの機能のものです。(ってスケールなんだから当たり前なんですけど)スケールを求めているならばそれらのもので十分役目は果たすのですが、一歩進んで屋内配線工事で使い勝手の良いスケールとはどういうものか考えてみたいと思います。

1.幅の広いもの
幅の広さは直進性や腰の強さに影響するため、なるべく幅の広いものが使いやすいです。上方向に伸ばしていった時、幅の広い方がより高く伸ばすことができます。
2.ストッパー付き
巻尺を伸ばして離すとスルスルと戻っていきますが、戻らないようにストッパーがついているものです。まあだいたいついていると思いますが任意の場所で固定することができるのでこの機能は必要です。
3.スケール自体の軽さ
長いスケールはそれ自体結構な重さになるので、扱いやすさという点では軽いものの方がよりいいです。
4.スケールの素材
スチール製のスケールがごく一般的で、非金属製より腰が強いのが特徴です。しかし電気工事に関しては感電する可能性があるので非金属製のスケールを使う方がより安全です。また、スチール製は温度によって伸縮するので正確な測定をする際は注意が必要です。素材については作業するスタイルに合わせて選ぶようにしましょう。

スケールの長さはDIY使用で考えると5mぐらいのものが適当だと思います。これらを踏まえてスケールを選びましょう。

屋内配線に便利な一般的スケール

タジマツール「Gロック25」GL25-55BL

GL25-55BL

幅25mmのスチール製テープで、水平方向に約2.4m、垂直方向に約3.8mまで支持なしで伸ばすことができます。テープ巻取り時にフックを守るガードバンパー及びショックアブソーバー機能付き。

  • 長さ 5.5m
  • テープ幅 25mm
  • ストッパー付き

タジマツール「Gステンロック25」GSL25-55BL

GSL25-55BL

サビに強いステンレス(SUS420)をテープに使用したコンベックス。テープを戻す時のバネもステンレスとすることで濡れたままテープを戻してもサビません。スチール製テープと比較するとやや腰が弱いです。

  • 長さ 5.5m
  • テープ幅 25mm
  • ストッパー付き

タジマツール「Gスパコン25」GSP25-55BL

GSP25-55BL

スチール目盛りの上に透明ナイロンを被覆したテープを採用。汚れた場合は水洗いできます。ステンレスバネ使用、ショックアブソーバ機能付き。腰の強さはステンレステープと同等です。

  • 長さ 5.5m
  • テープ幅 25mm
  • ストッパー付き

PROMATE「非道電コンベックス」ND1935

ND1935

測定部(テープ部)の素材として、高い絶縁性を有するアラミド繊維「ケブラー」を使用しています。引っ張り強度はスチール製の約5倍、軽さはスチール製の約1/5、ガラス繊維製の約3/5を実現。ケースと併せての軽量、小型化を実現しました。

  • 長さ 3.5m
  • テープ幅 19mm
  • ストッパー付き

スケールを通線工具として使う方法

ここからは実際の通線作業の中で、スケールを使って作業する方法をご紹介します。逆にスケールでないと通線できないケースでもありますので参考になると思います。

前述の通り、天井点検口から真下にあるスイッチボックス穴まで通線するとか、フロア間の隙間を通線する時に通線スチールでは通しづらい、というところで使います。以下の説明はフロア間通線作業でのスチール使用方法です。CD管を別フロアまで通すのページでこのテクニックを使っています。

スケールで通線:ボックス穴からスケールを入れる
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スイッチボックス穴からスケールを差し込み、真っ直ぐ突き当たるまで伸ばしていきます。

こういう時にストッパーがあるとないとでは作業性が全然違います。ストッパーがないと手で押さえる、あるいはテープ等で固定してスケールが戻らないようにしないといけません。

スケールで通線:下のフロアの天井裏に来た
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下のフロアにある天井点検口内から差し込んだスケールが見えます。これを引っ張り出せば上と下がつながることになります。

スケールで通線:引っ張り出せば呼び線として使える
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引っ張り出せました。呼び線として使うことができますね。

オレンジ色のCD管が2本通っていますが、薄い色のCD管をこの方法を使って通しています。

スケールは狙った所に届かせることができますから、この方法は結構有効です。通しづらい場所があったらやってみてください。スケールといってもいろいろな製品が販売されてるので、高性能で自分に合った使いやすいものを選ぶようにしましょう。使い方を工夫すれば便利な道具にもなります。埋め込み配線を達成するためにもひとつは持っておきたい工具です。