2階建て一軒家にお住まいのKDさまよりLAN工事のご依頼をいただきました。
現在はADSL環境にて無線LANでデスクトップとノートPCをネットにつないでいますが、光ファイバーを導入するにあたって有線LANを構築したいとのご希望です。早速建物状況の調査開始です。
建物の構造 | : | 在来軸組み工法2階建て木造住宅4LDK |
販売体系 | : | 新築 |
完成日 | : | 2007年 |
ネット回線 | : | KDDI auひかり |
ご希望
- 現在1FダイニングのカウンターにADSLモデムと無線LANルータを設置しているが、ルータを浴室天井裏に移設してそこを起点に各部屋へLANケーブルを配線したい。特に1Fリビング(テレビ裏)と2F洋室A(デスクトップPC設置場所)には配線したい。
- 可能であればCD管を配管して配線して欲しい。
浴室天井裏を起点にするためにはルータを設置する必要があるので、必然的に光ファイバーを浴室天井裏に導入する必要があります。しかしそのためには現状の配管ルートのどこかから新たにCD管を浴室天井裏に配管する必要があります。光ファイバー回線工事の担当者は配管のあるところでないと配線はしてくれないのです。(壁に穴を開けて直に導入することはやってくれますが別料金)
ということで、浴室天井裏へ既存の配管ルートを分岐させる方法を考えます。
1F平面図
カウンターキッチンに広いリビングと和室、収納もたくさんあって使い勝手の良い間取りです。
CD管の配管は電話用の配管のみで2F洋室Cへつながっています。浴室には天井点検口があるので、ここを起点に何とか新たにCD管を引き込むことができれば最高です。また、リビングのテレビ位置は左下なので、ここにいかにしてLANケーブルを通すかが問題です。
2F平面図
6畳以上の部屋が3部屋とこちらもゆったりした造りで申し分ない間取りです。浴室の真上はクローゼットとトイレとなっていて、LANコンセントを設置したいポイントが近くにはないので浴室天井裏からどれだけ1階の天井裏が見渡せるかが埋め込み配線のカギです。
浴室天井裏の様子
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浴室天井裏から南方向(平面図では下向き)の様子です。 最近ありがちな石膏ボードで全面が仕切られていることはなく、梁にも邪魔をされずに広い範囲が見渡せます。この状態ならばかなりの範囲で埋め込み配線ができそうです。 2F洋室CからのCD管が見えます。部屋はどんな様子でしょうか。 |
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ここは2F洋室Cです。CD管が接続されているのは左に見えるテレホンモジュラー部分でしょう。ここから浴室天井裏までCD管が配管できないか詳しく調査します。 450mmぐらい右には電源コンセントがあります。 |
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上記電源コンセントがある壁の真後ろ(2F洋室B)にも電源コンセントが設置されています。 なんとなくここが使えそうです。 |
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両側の電源コンセントを外して中の様子を見ます。 |
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少し隙間が見えます。これくらい開いていればLANケーブル1本ぐらいは通りそうですが、CD管が通るような隙間はありません。 1Fの天井裏にCD管を通すには穴を開ける必要がありそうです。 |
配線プラン
既存配管からの浴室天井裏への配線は、2F洋室Cから1F天井裏にCD管を通すことで可能と思われます。
ということで、各部屋への配線プランを以下のようにご提案しました。
- リビングに天井点検口を設置することでリビングテレビ裏と2F洋室Bへ、和室に天井点検口を設置することで和室と2F洋室Cへそれぞれ配線できそうです。
- 2F洋室Aの部屋は単独でCD管を通して配線できそうです。
今回の工事では天井点検口の設置がポイントとなりますが、部屋(特にリビング)への天井点検口の設置はご家族(というか奥様)の承諾が必要ということでご検討していただきました。結果、天井点検口の設置はせずにできる範囲で配線するという内容で作業することとなりました。具体的には
- 既存配管ルートから分岐して新規にCD管を浴室天井裏まで配管。光ファイバーが通るルートを確保する。光ファイバーを通すのと同時にLANケーブル2本と電話線を通す。
- 2F洋室Cと1Fダイニングカウンター部へ既存配管を利用してLANケーブルを配線。
- 2F洋室Aから1F天井裏へCD管を通して浴室天井裏へ配管、LANケーブルを配線。
となりました。
1F配線プラン
2F配線プラン
施工の様子
ここからは実際の施工の様子をご覧下さい。
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まず浴室天井裏への配管作業を行います。 2Fから1Fに穴を貫通させるために、24φ木工ドリルビットに伸長ロッドを装着して穴あけします。伸長ロッドの長さは400mmです。 因みに呼び16のCD管の外径は21mm、PF管の外径は23mmです。 |
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穴あけ終了。壁の中に木屑が散らばっています。 ここでは壁の裏側に電源コンセントが設置されていたので、そのボックス穴を利用して穴あけできましたが、外壁などではこの方法は使えません。今回は幸運でした。 |
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CD管に先端を輪にした呼び線をビニールテープで固定して穴に挿入します。 浴室天井裏から輪にした呼び線が見えるように適当に押し込みます。 |
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挿入したCD管が見えました。既設のCD管が立ち上がっている場所から挿入したCD管が下りてくると想像していたのですが、実際はそのさらに向こう側です。 距離が遠い分ケーブルキャッチャーで引っ掛けるのが難しいですが、時間を掛けてゆっくりと引っ張ります。同時に2Fの部屋からCD管を押し込みます。 |
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呼び線をキャッチするのに苦労しましたが、無事にCD管を引っ張ることができました。距離としては4mぐらいでしょうか。 2Fから挿入したCD管は浴室天井裏で適当な長さを確保して切断しておきます。 |
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既設のCD管が接続されている埋め込みボックスをはずし、新たに配管したCD管を取り付けるための接続穴(ノック)を取って接続できるようにします。 CD管が接続されているので埋め込みボックスを壁から取り出すことができません。壁の中にある埋め込みボックスのノックは取りづらいですが、ニッパーを使って何とか取り外します。 |
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新規CD管を接続する埋め込みボックスには、直接には配管したCD管は接続が難しいので、つなげる役目のCD管を短く切って壁の中に挿入します。 配管イメージは、埋め込みボックスの上方向にCD管を接続し、壁の中でUターンして1F天井裏に下りて浴室天井裏まで、という具合です。 |
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CD管を埋め込みスイッチボックスに接続します。 ここも壁の中での接続作業なのでなかなかやりづらいですが、気合です(^^) |
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埋め込みボックスに接続後のCD管の様子です。 画像の左側にある埋め込みスイッチボックスに、壁から飛び出しているCD管が壁の中を通って接続されています。 |
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壁の中にCD管を押し込んでいき、CD管カップリングを装着します。 CD管カップリングはCD管同士を接続するための部材です。CD管に押し込めばワンタッチで接続、頭をひねればロックが外れて取り外せます。 |
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壁の中にCD管を全部押し込んで、1Fに通したCD管と壁の中で接続します。 これで浴室天井裏までの配管ルートが完成です。 |
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早速、配管したCD管にケーブルを通します。 外から導入した光ファイバー、浴室天井裏→2F洋室CのLANケーブル、浴室天井裏→1FダイニングのLANケーブルと電話線の合計4本です。配管の曲がりがきついので4本同時に通しても通るか心配です。 |
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何とか無事に全部を通すことができました。これで浴室天井裏をLANの起点にすることができます。 光ファイバー工事は、今回このLAN工事にあわせて同日にKDDIに来ていただきました。 |
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続いて、2F洋室Aからの配管作業です。 テレビアンテナが設置されているところにLANコンセントを設置したいと目論んでいます。 |
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いつものように、配線器具と埋め込みスイッチボックスを外して壁の中にアクセスできるようにします。 |
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ここは幸運なことにCD管が1Fの天井裏まで通せそうな隙間があります。穴あけの必要はなさそうです。 建物の気密性という面ではあまり良くありませんが、埋め込み配線にはとてもありがたい隙間です。 |
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先ほどと同じように、CD管に呼び線を輪にして接続します。 ここでは黒い呼び線を使っていますが、なるべく明るい色の線を使った方が天井裏に押し込んだ時に見やすいです。 |
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1F天井裏への隙間にCD管を挿入します。 |
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浴室天井裏からケーブルキャッチャーでCD管を引っ張ります。 ここは比較的距離が短かったので、簡単に引き込むことができました。 |
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ここも同じように、CD管を埋め込みスイッチボックスに接続するためにノックを外します。
このスイッチボックスはミライ工業の製品で、ノックを外すといっても穴についているパーツを切り取るだけなのでニッパーで簡単にできます。 ※ミライ工業オンラインカタログより抜粋 |
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CD管接続完了。埋め込みスイッチボックスにCD管を押し込むだけで接続できます。 CD管はカッター等で簡単に切断できます。 |
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埋め込みスイッチボックスを壁の中に戻し、元の位置に木ビスで固定します。 |
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浴室天井裏側では、CD管を適当な位置にサドルで固定します。 2F洋室Aの配管終了です。 |
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ここは1Fダイニングカウンターにあるテレホンモジュラーです。ここには既に2F洋室Cからの配管が来ているはずです。 |
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配管内にLANケーブルが通っていて電話線として代用しています。 |
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一旦電話線(LANケーブル)を配管から抜いて、2FからLANケーブルとあわせて2本同時に引き込みます。 電話線を一度2Fへ抜き、2Fから1FへLANケーブルと一緒に通線することでこのようになります。 |
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2F洋室Cの埋め込みスイッチボックス内の様子。 CD管が3本接続されていて、左上が新規に配管した浴室天井裏へのもの。左下が1Fダイニングカウンターへ、右下が外からの配管です。右下から手前に出ている黒いケーブルは既存の電話線、ひかり電話に移行すれば不要になります。 |
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2F洋室AからのCD管にもLANケーブルを通します。 画像、上側が2F洋室Aから、下側が2F洋室Cからの配管です。 |
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2F洋室A側の処理です。 LANケーブルにLANコンセントを接続します。LANコンセントについては「LANコンセント」のページに詳しく載せていますのでこちらもご覧下さい。 |
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取付枠に装着して壁に固定します。 |
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フェイスプレートを2個用に交換してはめ込みます。 いつもながら、この瞬間が気持ちイイ(^^) |
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浴室天井裏にある設備(アンテナブースターとそれ用の電源コンセント)が固定されずにブラブラしていたので、梁部分に固定。電源コンセントは配線した電話線を接続したモジュラージャックとともに埋め込みスイッチボックスを使って固定しました。 このモジュラージャックにひかり電話の出力をモジュラーケーブルで接続すれば、2F洋室Cと1Fダイニングカウンターへひかり電話が通じることになります。 |
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配線したLANケーブル(それぞれ1Fダイニングカウンター、2F洋室A、2F洋室Cから)にRJ-45プラグ(サンワサプライ製RJ-45プラグ「ADT-6RJ-10」)を保護ブーツとともに取り付けます。 |
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浴室天井裏に通信機器が設置されました。KDDIが設置したONUとホームゲートウェイ(白いボックス)、無線LANアクセスポイントです。(ONUは写ってませんです) ホームゲートウェイにはONUからのLANケーブル、新たに配線したLANケーブル3本と無線LANアクセスポイントからのLANケーブル、ひかり電話用のモジュラーケーブルを接続しています。 |
各部屋全てにLANケーブルを通すことができなかったので残念なのですが、通せるところは配管して配線できました。繰り返しになりますが、天井点検口を設置すればリビングのテレビ裏へも配線できたので、ここについては今後また必要になってきましたら再度ご検討いただければと思います。
今回は2F→1F間の壁の中で24φの穴を開けてCD管を通すという大胆なことを行いましたが、無事に遂行できたことに満足しています。穴あけに際しての懸念は向こう側に電源ケーブルや同軸ケーブルなどのケーブル類が配線されていないかどうかということでしたが、浴室天井裏から見える配線状況を確認して問題なく行けると判断しました。
また、新たに配管したCD管内にLANケーブル2本と電話線、光ケーブルが通っているので、例えばauひかりをやめてフレッツひかりに乗り換えたい、なんていうことになると少々やっかいです。既存の光ケーブルだけを配管から抜いて、フレッツひかりの光ケーブルをまた通すことはほぼ不可能なので、一旦LANケーブルと電話線も配管から抜く必要があるからです。もしもそうなったら・・・またご相談くださいませ→KDさま
KDさまよりご感想をいただきました。
とても親身になって相談にのっていただき、ほぼ全て希望通りに実現していただきました。当初こちらが考えていた構想は家屋の構造が原因で不可能であることが分かり困り果てた際も、丁寧に時間をかけ再調査されてベストな代替案を提示していただきました。
他の業者に任せていたらきっと当初のプランが不可能と分かった時点で諦めていたと思います。下見に何時間もかけて調査していただいたにも関わらず全て無料であるのには大変驚きました。
最終的な作業費もとても良心的な価格だった為、家計は大助かり。逆にこちらが恐縮してしまいそうなくらいでした。
どらあい様の人柄も大変素晴らしく自信を持って友人やご近所さんにお薦めできます。
この度はお申し込み頂きまして本当にありがとうございました。m(_ _)m ぜひご近所にLAN工事ドットコムを紹介してくださいませ!
家庭内のLANケーブル配線にお悩みではありませんか?部屋や廊下の隅をLANケーブルがうねうね這ってて見苦しくはありませんか?
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