配線済みのケーブルを利用して追加配線
ここでは、設置されているCD管に既に配線されているものを利用して追加配線をする方法をご紹介します。
一般住宅においてCD管が配管されているケースと言うのは電話線を配線するためにある場合が多いです。壁にあるテレホンモジュラ(電話をつなぐための端子)を開けてみると電話線がCD管内を通って配線されている様子が見えると思いますが、配線されている電話線を一旦外して呼び線を付け、改めて電話線と一緒にLANケーブル等を配線するのです。
大まかな作業手順は以下のとおりです。
- 1階に配線されている電話線に呼び線(今回は荷造り用ポリひも)を接続
- 2階からその電話線を引き抜いて呼び線をCD管に通す
- 通った呼び線にLANケーブルを接続して呼び線を引っ張る
これで既存のCD管に既存の配線を使って追加配線をすることができます。今回の作業でのCD管の長さはだいたい7~8mで、極端な曲がりは無い模様です。では、実際の作業の様子をご覧下さい。
※この作業を行うためには、電話線の屋内配線工事を行うための「電話工事担任者」の資格が必要です。資格をお持ちでない方が行うと違法行為となりますので注意してください。決り文句ですが、あなたがこのページを参考に作業された結果について当サイトおよび管理人は責任を負いません。ご了承ください。
既に配線されている線が電話線や電源線以外(同軸ケーブル等)であれば無資格でも行えます。ただしマンションの場合は配管内も共用スペースとしているケースがありますので、事前に管理組合に許可を取る必要があることにも注意してください。
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左がテレホンモジュラジャック、右はお馴染みのコンセントです。汚い画像でスミマセン・・・ ここは1階北側居室に設置されているテレホンモジュラです。家具の後ろに隠れていて全く使っていません。今回はここに配線されている電話線を利用してLANケーブル(CAT5e)と同軸ケーブル(S-5C-FB)の2本を追加配線してみたいと思います。 CD管の行き先は2階リビング(以前「LANケーブルを壁の中に通すには?」のページで浴室天井裏からLANケーブルを通したところ)です。 |
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まずはフェイスプレートを外してテレホンモジュラを埋め込みボックスから外します。 電話線が1本だけ接続されていますので、ここがブランチ接続の終点ということがわかります。暗い画像でホント申し訳ありません・・・ 配線器具の外し方は「壁コンセントの仕組み」をご覧下さい。 |
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2芯(1対)の電話線が接続されていますので外します。 線が接続されている穴のそばに抜け止めロックを解除するボタン?がありますのでそこを押しながら線を抜きます。(拡大表示画面で赤丸で囲んである部分)線を外す前にどっちの穴にどっちの線が接続されているのか確認しておきましょう。 ちなみにこのテレホンモジュラはパナソニック製「埋め込みテレホンモジュラジャック(型番:WNT15649)」です。パナソニックの電設資材カタログ(PDF)「品番を直接入力して検索」で確認できます。 |
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親指でロック解除ボタンを押すと微妙にクリック感がありますので、特に工具を使うこともなく、難なく線を抜くことができます。爪を立ててボタンを押すと楽です。 |
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もう一方も同様に外すことで電話線を外すことができました。作業の邪魔になるので外したモジュラジャックはどけておきましょう。 |
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呼び線を電話線に接続します。 「CD管に追加配線するコツ」で登場した荷造り用ポリひもを呼び線にします。ビニールテープを使って確実に接続します。これで第1段階は終了。 |
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続いて、2階リビングにあるテレホンモジュラを開けます。画像は既に設置してあるLANコンセントを取付枠から外した状態です。 下に向かっている電話線が先ほど外した線ですのでこれを引っ張ります。電話線が抜けて代わりに呼び線であるポリひもがCD管内に通ります。 |
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接続したビニールテープ部分がCD管内に入ってしまえば抵抗もなくスルスルと引き出すことができます。結構気持ちいい(^^) |
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電話線が抜けてポリひもが出てきました。第2段階終了です。 |
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ポリひもを長めに引き出して、同軸ケーブルとLANケーブルを別々に接続します。 別々に接続するのは太くなる部分を分散させるためです。今回は同時に2本通線するのでポリひもが引っ張り荷重に耐えられるか心配ですがチャレンジ精神で作業を進めます。 |
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通線できました。(早っ!) 内径16mmのCD管に電話線、CAT5eLANケーブル、S-5C-FB同軸ケーブルはギリギリですね。通線抵抗がかなりありました。呼び線のポリひもを家族に引っ張ってもらいましたが、3本のケーブルを押し込んで開通したと言う感じでしたので呼び線は「水先案内」的な役割でした。 画像は1階の埋め込みボックス内の様子です。CD管内にめいっぱいケーブルが入っている様子がわかります。 |
通線が終われば第3段階終了。あとは整端処理だけですので作業のほとんどは終わったも同然です。
今回は同軸ケーブルも同時に通線しましたので、作業の難易度が少し上がりました。通線抵抗が予想以上に強く多少苦労しましたがどうにか目的を達成することができました。
しかし、ここまで同軸とLANケーブルが密着しているとLANケーブルの同軸ケーブルへのノイズが気になるところです。残念ながらこの作業は作業方法をご紹介するためにやりましたので実際にPCやテレビを接続するわけではありません。ノイズの影響については後日お伝えできればと思っています。ご了承ください。
通線抵抗を軽減する潤滑剤がある
LANケーブルや同軸ケーブルの埋め込み配線時に、今回のように通線抵抗が大きくてうまく通線できないケースがあります。CD管やPF管などの可とう電線管であれば波型の形状でケーブルとの摩擦を低くする工夫がされていますので通常であれば問題ないのですがさまざまな状況がありますので、「ここに通したいのに通ってくれない」と途方に暮れてしまうこともあります。
そこで、通線抵抗が大きくて通線しづらい時は「デンサンウェット」をオススメします。ケーブル入線潤滑剤というものでケーブルの皮膜やCD管などの内側に塗ることにより「滑り」が良くなり通線抵抗を小さくしてくれます。無論ケーブル皮膜(シース)やCD管には無害で乾いた後でも効果が持続します。安価なものなので通線作業を多くされる予定の方は(そんな人ほとんどいませんか・・・)用意しておいてもいいかも?!
型番:ND-55S
型番:ND-55L
型番:NCS-700
型番:BJ-420
型番:DSP-500