家を新築しようとお考えの方へ

LAN工事は新築時・リフォーム時がベスト

LAN工事ドットコムは、「既存の住宅にLANケーブルを配線する」がテーマですが、本来はマイホームの新築時やリフォームの時に一緒にLAN工事を行うのがベストです。建築中、或いはリフォーム作業中であれば壁の中や天井裏、床下など一切苦労せずにどこにでも自由に配線することができるからです。

でも、実際に家を建てる時にどんな風にLAN工事をやればいいのか、ハウスメーカーの営業さんや電気工事業者にどんな風に説明・依頼すればいいのか分からないことも多いかと思いますので、簡単にまとめてみました。

注文住宅や建売の一戸建て住宅で、これから建築が始まるというケースで役立つであろう情報を書いています。既に完成した建売住宅を購入する、といった場合は当てはまらないので、その点にご注意の上ご覧ください。

配線計画はスター型が基本

まずは、ブロードバンドでインターネットをどの部屋でも接続できるようにするための「LAN」について簡単に説明します。

LANとは、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network)の頭文字をとったもので、狭い範囲のネットワークという意味のものです。ここで言うLANは世帯内における住宅内(家庭内)のネットワークを指します。

具体的にはパソコン同士をLANケーブルで接続して、お互いで通信しあうのがLANです。パソコンとパソコンを直接LANケーブルで接続することもLANと呼べます。そして、インターネットの入口をLANに接続することで、LANに接続されたすべてのパソコンからインターネットに接続することができるようになるのです。

現在のLANの主流はカテゴリー5eカテゴリー6といったツイストペアケーブル(一般的にLANケーブル)で接続される100Base-TXや1000Base-T、1000Base-TXといった規格のものです。これは、1ヵ所から放射状にケーブルを配線してPCにつなげるように設計されています。

スター型配線のイメージ

上の図は一般的なLANの接続イメージです。

この場合、各PCからのLANケーブルはHUB(スイッチングHUB)に集約され、ルータ※1及びONU※2/ADSLモデムに接続されます。

ここ最近、プロバイダからレンタルするADSLモデムにはルータ機能が内蔵されているものがほとんどですので、そういったモデムの場合はブロードバンドルータを置く必要はありません。モデムの取扱説明書で確認してみてください。

また、市販のブロードバンドルータにはLANポートが4ヵ所あるなどHUB機能を備えているものもあります。接続するPCの台数が少ない場合は(ルータのLANポートで接続が間に合うようなら)、HUBを設置しなくても直接ルータに接続できます。

新たにPCを買い足すなどしてルータのLANポート(LANケーブルを接続する口)が足りなくなったら、追加でHUBを用意すれば問題ありません。

※1:ルータとはネットワーク同士を接続するための機器。特徴として通信データを監視する機能(フィルター)があり、許可されていない通信データはルータを超えることはできない。

※2:光ファイバーからの信号をLANケーブルに流せるように変換するための装置。メディアコンバータとも呼ばれる。ADSLモデムも電話線⇔LANケーブルへデータ変換するのでメディアコンバータと呼べる。

このように、1ヵ所にLANケーブルを集約させるので、星の形になぞって「スター型」と呼ばれています。現在のLANの基本形です。

LANケーブルを集約させる場所は浴室の天井裏がオススメ

各部屋でブロードバンド接続ができるようにするためには(家庭内LANを構築するためには)LANケーブルをスター型に配線する必要があるので、各部屋からのLANケーブルを集約させる場所を決める必要があります。

集約させる場所は浴室天井裏がうってつけです。なぜなら浴室がユニットバスであれば、ほとんどの場合天井点検口がはじめから設置されているからです。(これから新築するのであれば、浴室の天井に点検口があるかハウスメーカーなどに確認しましょう。)

浴室天井裏にはテレビアンテナ線(同軸ケーブル)も集約されていることが多いです。建売住宅を例に取ると、テレビアンテナやエアコンなどの設備は物件が施主(家を購入したお客さん)に引き渡された後に設置工事を行うので、アンテナブースターやCATVブースターの設置がやりやすいように天井点検口のある浴室天井裏に集約させるのが一般的です。

情報分電盤(配電盤のように天井近くの壁に設置するボックス)を設置して、よりメンテナンスし易くするという方法もあります。その場合はどこでも問題はありませんが、できればメンテナンスやトラブル時を考えて天井点検口がある場所の近く(浴室に隣接する脱衣所など)に設置することをオススメします。天井裏に入ることができるというのは、それだけ対応できる範囲が広くなるということになるのです。

「慣れてる人ならともかく、素人にはHUBやルータなどのメンテナンスがやりにくいのでは?」

確かにそうですね。天井裏を覗くためには少なくても脚立などに登ってフタをあける必要があるので、「普通の人がメンテナンスしやすい」環境ではありません。

でも自分の経験から言わせてもらうと、HUBやルータなどの機器は一度設置・設定してしまえばそうそう触ることはないのであまり問題に感じたことはありません。機器にあるランプの点灯状況を確認する必要があるなら別ですが、普段インターネットを使う上ではあまり確認することも必要ありません。

もしどうしても気が進まないようであれば、どちらかの部屋にあるクローゼットの上部に機器を設置するためのスペースを作るのも良いと思います。

最上階の天井裏に機器を設置するのは危険

LANケーブルを集約する場所として

  • 浴室天井裏
  • クローゼット上部

がオススメなのですが、注意する点があります。最上階の天井裏は夏の時期はかなりの高温になるので設置した機器が熱にやられてしまう可能性があります。

機器の取扱説明書を見ると、ほとんどの機器で使用環境が「0~40℃」と書いてあります。人間が通常暮らすのに適した気温です。(40℃はキツイですが)従って部屋のどこかに設置することを想定して設計されているので、天井裏というイレギュラーな場所に設置するのは考慮されていません。

ということで、ネットワーク機器(ルータ、HUBなど)を最上階の天井裏に設置してはいけません。夏が来ると壊れます・・・平屋建ての場合は天井裏ではなくクローゼット内に設置するようにしましょう。

将来のために「配管」して配線

ハウスメーカーや電気工事業者にLAN工事を追加依頼する場合は、LANケーブルを通すための配管(CD管など)をしてもらうように依頼しましょう。配管さえされていれば後からいくらでも容易に配線することができます。

現状、カテゴリー5eケーブルでスピードは十分と思っていても、これから先もカテゴリー5eでスピードが足りるのかはわかりません。配管がされていなくて直にLANケーブルを配線していたら、新しいケーブルを配線しようにもどうすることもできなくなってしまいます。

配管するための費用は配管材費と人件費(プロは全ての部屋に配管するだけなら1日で終わらせます)なのでそれほど高くはなりません。配管本数にもよりますが高くてもせいぜい5万円ぐらい(または1ヶ所5,000円程度)でしょう。LAN工事の追加見積りを取るなどして、価格が妥当なものか検討してみてください。

配管してLANケーブルも配線し端末処理もする、という内容だとこの倍ぐらいの費用になると思います。

では配管する管の径はどのぐらいがいいのか

配管材はCD管やPF管、TL管といったフレキシブルチューブを使うのが一般的です。フレキシブル→自由に曲げながら配管でき、軽くて丈夫、さらに安い、などたくさんのメリットがあります。

管の太さもいろいろありますが、住宅の場合では呼び16(内径16mm)または22(内径22mm)を使うのが普通です。内径が太い方がよりたくさんのケーブルを通すことができるので理想的ですが、LANケーブル1~2本を通すのであれば16で十分です。もちろん22が配管できるのであればそれに越したことはありません。ハウスメーカーと電気工事業者の3者で綿密に打ち合わせして、納得の上決定してください。

一部のハウスメーカーや電気工事業者にはLANの知識があまりない場合も

以前は家庭内LANというものの存在自体知らないハウスメーカーの営業マンが少なからずいました。また電気工事業者の中には信号系のケーブル配線をやりたがらない人がいます。まずは業者でもそういう人たちがいるということを認識しておきましょう。

しかし、ブロードバンド接続がここまで普及してくると、お客様からの「LANを設置したい」という要望も増えてきていることでしょうから、全体的にはLANに対するスキルは上がっていると想像できます。

ハウスメーカーのLANに対する考え方の説明を受けるためには、こちらもある程度の予備知識を入れておく必要があります。営業マンの言われるがままに導入して思っていたものと違っていたのでは後の祭りですから、しっかりとしたLAN設置の方針を決めて打ち合わせに臨みましょう。

新築住宅におけるLANの地位はまだまだ低い

新築マンションの一部では標準でLAN用の配管や配線がされているところもあるようですが、まだまだほぼ「オプション」扱いの家庭内LAN。松下電工のカタログなどでは「電源」「映像」「信号」の3系統を全ての部屋に、ということで推奨していますが、現実はなかなかそうではないようです。

新築やリフォームの際は必ずLAN工事についてご検討ください。一生に一度あるかないかのマイホーム購入。大きな買い物ですから妥協せずに徹底的にこだわり、快適な住まいをぜひ手に入れてください。新しい家の中でケーブルを這わすのはとても耐えられません。しっかりとした計画・準備をもって工事を依頼してください。

LAN工事ドットコムが、あなたのより良い住まい作りに少しでもお役に立てますように。