デジタル家電のLAN端子

家電をLANに接続するとは

デジタル家電、その中でも一番目立っている存在は液晶やプラズマなどの薄型テレビです。それらにはLAN端子が用意されていますが、これって具体的にどんな役割を果たすのかイマイチよくわからないところがあります。LAN端子ということは当然LANケーブルを接続してLANに参加させることになるのでしょうが、どういう意味合いがあるのか興味深いところです。

現行のアナログテレビ放送は2011年7月で終了となる予定なので(そんなのムリに決まってるっていう話もありますが)、多かれ少なかれこの5年の内にデジタルチューナー内蔵のテレビを買うことになるんだ思います。そもそもなんでデジタルにする必要があるの?今のままでいいじゃん!という話はここでは置いておきまして、現状のデジタル家電に搭載されているLAN端子について探ってみようと思います。

その1:視聴者参加型番組へのデータ送信用

これはBSデジタル放送が始まった当初から言われていることで、初期は電話回線用端子(モジュラジャック)のみでした。インターネット接続がブロードバンドに移行し始めてLAN端子が搭載されるようになってきました。

しかし、現状電話回線を利用しての参加という形態はおおむね変化していない模様で、放送局側の対応も進んでいないようです。LAN端子を装備するテレビでも、その近くに相変わらず電話用モジュラジャックは搭載されています。

放送局の対応が進んでいない原因として、双方向通信できる環境を持つ視聴者の絶対数が圧倒的に少ない、そもそも参加できる視聴者があまりいないのでは?と考えられます。あくまで私の想像ですが、デジタルハイビジョンテレビの売れ行きが好調だと言われてはいるが、放送局がそういった番組制作に本腰を入れるにはまだまだ普及していないということなのでしょう。(デジタルハイビジョンテレビの普及率を上げるためにアナログはやめて全てデジタル放送にしようとしているんじゃないの?などと勘ぐってしまう)

また、もし自分がデジタルテレビを購入したとして視聴者参加型番組に参加するのかと考えた時に、どうなんだろう?と思います。まあ自分が興味のある内容の番組か、参加者の中から抽選でプレゼントが当たるとかいう場合だけでしょうね。(笑)

その2:DLNA対応機器の操作ができる

DLNA(Digital Living Network Alliance)とは、家庭内LANでデジタルAV機器同士やパソコンを相互に接続し、動画、音楽、静止画などのデジタルメディアコンテンツを相互利用する仕様を策定するために設立された業界団体のことで、(引用:ITPro //itpro.nikkeibp.co.jp/free/NNW/NETHOT/20050113/154667/)「DLNAガイドライン対応機器」「DLNA機器」などDLNA対応機器同士をLAN上に接続することでメーカーを問わずにデータの共有ができるというものです。

具体的には、パソコンやDLNA対応のハードディスクレコーダーで録画したテレビ番組をLANに接続したテレビで視聴することができるようになります。と言えばわかりやすいでしょうか。テレビ番組だけでなく、音楽やデジカメ画像などのデジタルコンテンツも同様に共有して楽しむことができます。

アイ・オー・データバッファロー等からは既にネットワークメディアプレーヤーとしてDLNA機器が販売されていますが、それが大手家電メーカーのテレビなどにも搭載されるようになってきたということです。LAN内にDLNA対応のサーバーを設置すれば、LANに接続されたテレビから直接操作し自由に視聴することができる、ビデオ共有のようにすることができるのです。

ハードディスクレコーダーに録画したビデオは基本的にそこに接続されたテレビでしか見ることができませんが(DVDにダビングすればそんなことはない訳ですがイチイチ手間が掛かる)データ共有していれば手間が掛からずにどのテレビでも見ることができる、便利な世の中になったもんですね。(便利かどうかは使う人によります・・・)

2006/05現在、DLNAに対応したテレビを発売しているメーカーは東芝やソニーなどでまだまだ少ないのですが、他のメーカーが対応する新製品を発売することは明白です。これからハイビジョンを買おうと思っているのならDLNAについても確認した方が良さそうです。

その3:データ放送の表示

NHKでは「NHKデータオンライン」というホームページを公開しています。

「各地のニュース」「気象情報」「スポーツ」「番組情報」「おすすめ番組」「双方向」「円と株」「福祉」合計8個の項目についてデータ送信を行っていて、「各地のニュース」は地方局が放送する地域のニュース内容を見ることができたり番組に連動した情報、例えばスポーツ中継の時は選手のプロフィールやチーム成績などが表示されたりします。

ニュースなどの内容は通常のテレビで放送されるものと同一ですが、24時間いつでも見られて、しかも自分が見たい内容のもの(地震情報やスポーツの試合結果など)をすぐ見ることができる。まさにインターネットを利用した「放送」です。

特に「気象情報」がいつでも見ることができるのは魅力です。「明日の天気は・・・」「旅先・出張先の最高気温は・・・」などがすぐ見られるのは便利だと思います。あ、私の個人的な意見です(^^)

こういった情報はインターネット経由で送信されるので表示させるには当然テレビをネットに接続する必要があります。

総論:テレビのLAN端子は放送局が使うもの

LAN端子の本来の意味は双方向通信のためなので、活用するためには放送局側の対応如何によるところが大きいということになります。よって現段階では家電メーカーのお客様相談や家電量販店の店員が「現在はあまり使う用途がない端子」と言うとおり、将来に備えた端子だということが言えます。(NHKに関しては多少なり使っていると言えますが)

家電メーカーによっては機能していない端子を使ってDLNAに対応させたり、テレビ専用のホームページにアクセスできたりといろいろ努力しています。アナログ放送からデジタル放送への過渡期である今、テレビ(ハードウェア)の進化や放送局の進化(放送と通信の融合)についてもまだまだ続きそうです。

家庭内LANを構築しているのであれば接続しない手はないでしょうが、それほどすごいことができるわけではないのが現状なのでこれからの放送局および家電メーカーに期待というところですね。


この記事を書くために各社のハイビジョンテレビのカタログを熟読しました。そこで気付いたことは・・・

上位機種はフルスペックハイビジョン

デジタルハイビジョン放送(地上/BS)は1920x1080ドット、約200万画素での放送を行っています。フルスペックハイビジョンはその画素数をそのまま表示することができるので本来のハイビジョン放送を堪能することができる。しかし現在の対応機種は37V型以上の大型機種に限定されている。逆に32V型以下の機種は1366x768ドットで、ハイビジョン信号を間引いて表示している。

PC接続は各社できるがほとんどがアナログ接続。デジタル(DVI-I)端子が用意されているのはSHARPのみ

デジタルハイビジョンのPC接続がアナログ(D-SUB15ピン)端子のみのものが多い。デジタル端子(DVI-I)を装備してるのはSHARPのみ、フルスペックハイビジョンなら1920x1080で表示可能。

あくまでカタログレベルでの話ですので、購入する場合は家電量販店に出向いて自分の目で確かめる必要があります。フルスペックハイビジョンでの最小画面サイズは現在のところSHARPと東芝の37V型ですが、いずれ32V以下の小型機種も登場するでしょうし、まだまだ高い買い物なので購入の際は失敗しないように慎重に決めたいものです。