埼玉県さいたま市にご新居をご購入されたhgさまより、LAN工事のご依頼を頂きました。
ご希望
- 2階建ての各部屋(1Fに3か所、2Fに3か所)にLANケーブルを配線したい
- 固定電話の使用予定は無いので、LANケーブルの配線のみでOK
ご購入された2階建ての新築住宅には、電話用と思われる既存の配管が1Fダイニングのカウンター下にあるのみです。この状態から各部屋にLANケーブルが配線できるか、まずは状況を確認します。
1F平面図
1Fにはリビングダイニングと6畳の和室があります。CD管はキッチンカウンター下に来ているのみで、各部屋への配管はされていません。例によって浴室に天井点検口があるので、そこを起点に床下経由での配管配線ができれば美しく構築できます。
浴室天井裏を確認すると、外からの配管が浴室天井裏を経由してキッチンカウンター下に行っていました。なので既存の状態で光端末(ONU)を浴室天井裏に設置することができます。ブースター用の電源も設置されているので全く問題ありません。
リビングと和室からの配管は床下を通し、キッチンカウンター下の既設配管がある壁から立ち上げて浴室天井裏に持っていくのが良いと考えます。
2F平面図
2Fには洋室が3部屋です。天井点検口が設置されていて、屋根裏に入ることができます。屋根の構造が寄棟なので、外壁に近づくにつれて屋根が下りてくるため高さがなくなって作業しづらくなりますが、何とか作業するスペースはあるかと思います。
洋室Aの階段側の壁に、洋室BおよびCから持ってきた配管を下して浴室天井裏に持っていくのがいいですね。洋室Aについては浴室天井裏から壁に向かって穴あけをすれば最短距離で配管できそうです。
作業風景(床下)
床下経由でCD管を配管するので、まずは配管を通す場所の配線器具とスイッチボックスを外す作業から始めます。
床下作業の準備
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1Fキッチンカウンター下の状態です。配線器具は東芝製です。 配管があることを示すテレホンチップが設置されています。 |
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配線器具を外したところです。CD管が見えます。 スイッチボックスはパナソニックの「らくワーク」が設置されていました。CD管は「らくワーク」に針金で簡易的に固定されています。
パナソニック「らくワーク」配管取付枠2個用
DM802U |
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こちらは1Fリビングのテレビコンセント部分です。 壁際に設置されているので、床下からCD管を立ち上げる穴あけ位置が限られそうです。 |
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配線器具を外すと、発泡スチロールの断熱材が見えました。 発泡スチロールと壁材(石膏ボード)の間隔は16のCD管が何とか通りそうな隙間があります。全ての外壁がこの状態なら、配管を通すのは楽かもしれません。 |
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1F和室のテレビコンセント部分です。 ここもリビング同様に壁際に設置されています。 |
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配線器具とらくワークを外して、壁の邪魔にならない場所へ押し込みます。(ここでは壁穴の右側) |
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床下から浴室天井裏へ配管を通すために配管を立ち上げる必要がありますが、キッチンカウンター部の壁を選択しました。 下見に伺った時は浴室の壁に通す予定でいましたが、キッチンカウンター部の壁のほうが通しやすそうです。画像ではオレンジ色の呼び線を通しているところです。既存のCD管が見えます。 |
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追加のCD管が2本通りました。 呼び線を使うつもりで通しましたがどうもうまくいかず、面倒なんでCD管をキッチンカウンター側から直接差し込んで浴室天井裏からケーブルキャッチャーで手繰り寄せました。CD管がねじれていないことを確認してここは終了です。 |
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CD管を通した後の部屋側の様子です。 この後床下に潜って、リビングと和室からのCD管をここにつなぎます。 |
ここからいよいよ床下に潜っての作業です。
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キッチンにある床下点検口から見た床下の様子です。 排水管がほぼ中央に通っていて、この先に行くことはできない状態です。これ、床下点検口の意味を為していませんね・・・なぜもっと邪魔にならない位置に設置しなかったのでしょうか。理解に苦しみます。 幸い、洗面脱衣所にも床下点検口が設置されていますので、そちらから床下に潜れます。 |
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ここは1Fリビングのテレビコンセントが設置されている真下です。 断熱材がここも発泡スチロールですので、穴あけする場所の断熱材を切り取ります。 |
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こんな感じで断熱材カット、穴あけをしました。 壁の中に向かって斜め下からの穴あけです。 |
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12mmの木工ドリルで下穴をあけ、20mmと25mmのスパイラルステップドリルで穴を大きくしCD管を通します。 途中、釘などに遭遇することがありますがスパイラルステップドリルなら構わずにあけられます。 |
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写っているコンクリート基礎の向こう側にキッチンカウンターの壁があるので、基礎にあけてある穴を利用しました。 元々通っているのはガス管です。 |
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CD管用の片サドルを使って根太部分にCD管を固定します。 床下から立ち上げたCD管が届いているかわからないので、長さに余裕を持たせます。 |
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こちらも同じように片サドルで固定します。 CD管の配管はとにかく緩やかなカーブを描くことが大事です。 |
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リビングと和室からのCD管をキッチンカウンター部の壁に立ち上げて、浴室天井裏へ通したCD管とCD管カップリングを使って壁の中で接続します。 らくワークを外さなくても接続できました。 |
ここまでで床下作業は終了です。続いて屋根裏に上がっての作業の様子です。
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ここは2F洋室Bの真上です。手前の石膏ボードの向こう側は梁の下の空間になっているので、石膏ボードに穴をあければ壁の中にアクセスできます。 CD管が下向きに入るように斜め上から穴あけをします。 |
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洋室BとCからの配管を、洋室Aの壁の中へ落とし込みます。 ここは間仕切り壁なので断熱材は入っていません。見えている断熱材は屋根裏と壁をふさぐために入っているもので、手で簡単に外すことができます。配管を通したら断熱材を元に戻します。 |
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階段上がってすぐ左側にあるコンセント穴から1F天井裏に向かって穴あけをし、CD管を通します。 画像は浴室天井裏から見たところです。 |
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洋室Aについては浴室の真上なので、浴室天井裏から壁に向かって穴あけをしてCD管を通します。 |
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洋室Aの壁からCD管が出てきました。 ここは距離が近いので特に問題なくスムーズに通りました。 |
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らくワークには標準では配管が固定できないので、以下の配管固定部材を追加してCD管を固定します。
パナソニック「らくワーク」配管アダプタ14・16用1連
DM8A161 ※パナソニック(株)電設資材総合カタログより抜粋 |
配管を固定してLANケーブルを配線
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各部屋から集めたCD管を浴室天井裏の適当な位置に固定します。ここでは「連結サドル」を使いました。 右側3本が2F、左側4本が1Fと既存の外からの配管になります。 未来工業「連結サドル」LSY-16
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CD管は浴室天井裏でも邪魔にならないようなスペースを通します。 配管だらけです・・・ |
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各部屋、通した配管にLANケーブルを通しLANコンセントを取り付けて仕上げます。 |
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LANケーブル通線後の浴室天井裏の状態です。 配管の行き先を梁に書き込みました。 |
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LANケーブルチェッカーを使って導通確認をし、行先表示タグを取り付けます。 |
ここまでで作業終了となりました。
浴室天井裏に光ファイバーが来ることになるので、ONUとHUB、無線LANルーターを設置すれば各部屋でネットが開通することになります。キレイな状態で便利にお使いになれるのではないかなと思います。
無線LANルーターのルーター機能を使う必要があるそうなので、浴室天井裏に設置する必要があります。浴室は建物の角にありますので1F和室や2F洋室Bなど電波が届かない場所があるようなら2台目の無線LANアクセスポイントを設置するようご検討くださいとお伝えしました。
お引っ越し前の家財道具が何もない状態で作業させていただきましたので、失礼ながら気を使うことなく終了することができました。この度はご依頼いただき誠にありがとうございました!