屋内配線が難しければ屋外を考えよう
1階から2階への埋め込み配線をしようとしたとき、フロアを跨ぐ部分の配線スペースがない、あるいはスペースはあるけどケーブルをうまく誘導できない、などの理由で配線できないというケースも多いかと思います。私も実際に親戚の家のLAN工事をした際、天井裏に配線することができずにやむなく屋外にケーブルを出して外壁に沿わせて配線した経験があります。
ここでは、屋内から屋外へケーブルを出す方法の一例をご紹介します。基本的な配線方法として外壁に既に開いている穴を利用します。穴あけ作業をしなくて済み、リスクを低くすることができますので比較的簡単な内容になります。既に開いている穴としては例えばエアコンの冷媒管やドレンホースを通している穴だとか、換気扇ダクトの穴などがあります。
では、早速手順を見ていきましょう。エアコン用の穴(スリーブ)を利用した配線方法です。
エアコンは室外機の電源を室内機から供給しています。従って、スリーブ内を「冷媒管」「ドレンホース」「電源ケーブル」この3種類が通っています。注意したいのは電源ケーブル。エアコン未使用時は問題ないのですが、使用時は電気が流れるのでLANケーブルに影響を与えます。なるべく電源ケーブルから離して配線するようにします。
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エアコン室内機外観。 最近のエアコンは省エネタイプで電気代がおトクです、と言われてはいますが、他の家電品に比べると電力量が多いのは事実です。分電盤を見ていただければわかりますが、エアコン1台で1回路(専用回路)という構成になっているのが普通です。 |
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コンセントを抜いてからエアコンのパネルを外します。 吹き出し口部分に隠れているビス(左右各1個)を外します。エアコンによってビスの位置や個数はさまざまだと思いますのでここら辺は参考程度にして下さい。 |
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このエアコンの場合はビス2本を外して、パネルを下から持ち上げるようにすることで外すことができました。 余談ですけど、エアコンの内部を洗浄するスプレーが市販されていますがパネルを外してやった方がやりやすいですね。この機会に外したパネルも一緒に掃除するといいかもしれません。 右側に室外機に接続している電源ケーブル(VVF2.0-3C、赤・白・黒)が端子に接続されているのが見えます。 |
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エアコンの右側に穴(スリーブ)が開いています。 見えている白いものがドレンホースです。スリーブを通って屋外に出されています。この時点では通線するスペースはまずまずありそうだという感じですね。 |
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屋外側の状態です。 このダクトはイナバ電工「スリムダクトSD」という製品です。エアコン用ダクトとして有名なメーカーでホームセンターなどでも販売しています。 |
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ダクトカバーを外します。 ダクトカバーはパチッとはまっているだけなので、手で簡単に外すことができます。穴が開いている部分を覆っているカバーには防水処理(コーキング)がされていてくっついていますから、外してしまうとコーキングをやり直す必要があり面倒です。ここはそのままにしておきます。 ダクト内に電源ケーブル(VVFケーブル)が入っているのが見えます。 |
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ダクトを下から覗いてみます。 通線するスペースはありますが、電源ケーブルの近くを通ることになってしまいそうです。あまり思わしくないですね・・・。 |
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とりあえず室内側から通線スチールを通してみます。 ダクトカバーを外してないのでやや抵抗があります。しかし無理な力をかけるのは良くないですから、ゆっくりと慎重にスチールを押し込んでいきます。 |
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スチールが出てきました。 とりあえず、という形ではありますが屋内から屋外へ線を通すことができました。ここまで来ればLANケーブルを接続して配線するだけですので難しくないと思います。 |
電源ケーブルに近い位置での通線になっていますので、このままLANケーブルを通線するのはいささか問題があるように思います。このケースではコーキングをやり直す覚悟でカバーを外しケーブルの通る位置を調節する必要がありますね。
注意点として
- ダクトカバーを外すなどの作業のための足場がない場所では通線は難しいです。
- 配線するLANケーブルは屋外用にする必要があります。
ということになります。
この方法はLANケーブルの通線に限らず、例えばCSアンテナをベランダに取り付けた際の同軸ケーブルを部屋へ入線するなどにも使えます。エアコン用の穴は比較的大きく開けてありますので屋内~屋外への通線時はまず検討してみるべきです。ケーブル配線の参考になればと思います。
屋外用LANケーブルはあまり製造されていない製品ですが、比較的入手しやすいものとしてエレコムの屋外対応型Cat5eLANケーブル「LD-VAPFR/BK」シリーズがあります。通常のLANケーブルの上に高耐久ポリエチレンで二重に覆うシースとし耐候性を高めています。LANケーブルの屋外配線は保護管を使うのが基本ではありますが、屋外用のLANケーブルを使うことによりさらに耐久性が増します。注意する点として、ポリエチレン被覆が硬いので一般的な屋内用LANケーブルと比べると曲げにくくなっています。
サッシを乗り越えることができるスキマ用ケーブルや防水テープ付属の中継コネクターなど屋内→屋外の部材もラインナップしています。
エレコム 屋外対応型Cat5eLANケーブル「LD-VAPFR/BK」シリーズ