無線LANの電波はどこまで届くか

Wi-Fiは木造住宅向け

レンタルしているIP電話アダプタに指定のLANカードを装着すると無線LANアダプタの親機になるので、購入して無線LAN環境を構築してみました。アレだけ有線LAN信者だとか言っておきながらコロッと寝返る変わり身の早さに「ポリシーはないのか」という罵声が聞こえそうですが、気にしません(オイオイ)

オークションで購入した中古パソコンに後付けで無線LANアダプタを搭載していますので、無線LANアクセスポイントがあれば無線LANを構築することができます。興味本位で導入してみました。

NEC AtermWL54AG
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親機に取り付ける無線LANアダプタ「NEC AtermWL54AG」。現在の無線LAN規格の主流であるIEEE802.11a/b/gの3種類全てに対応しているカードです。

親機にLANカード「WL54AG」をセット
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親機はNECアクセステクニカ製「AtermWR7610HV」。東京電力のFTTH「TEPCOひかり」を導入するにあたり、プロバイダ(DTI)からレンタルしているルータ内蔵IP電話アダプタです。

コンセントを抜いて電源OFFにしてから親機のカードスロットにカードを挿入し再びコンセントを挿して電源ON。カードのランプが点滅を始めれば装着完了です。

無線クライアント(ノートPC)の設定もありますが、最近のどうでもいい話「アクセスポイントを発見」でご紹介していますのでここでは割愛させて頂き、本題に入ります。

現在(2006/07)の無線LANの主流には3種類の通信方式(IEEE802.11a/b/g)がありますが、特徴を簡単にまとめると

通信方式 使用周波数帯 最大通信速度 特徴
802.11a 5.2GHz 54Mbps 減衰しやすいが混信しにくい。電波法により屋内での使用に限られる。
802.11b 2.4GHz 11Mbps 減衰しにくいが混信しやすい。無線LANとして最も普及しているがスピードが遅い。
802.11g 2.4GHz 54Mbps 11bと互換性がありスピードが速い。減衰、混信は11bと同様。

となり、スピード面から事実上802.11aか802.11gのどちらかを使用することになります。

ということで11aおよび11gについてバッテリー駆動のノートPCを建物内のあちこちに移動させて、その通信状況などを調べてみたいと思います。

まず、当家の環境ですが

建物の構造
木造3階建て(在来軸組み工法)
断熱材は外壁および屋根のみグラスウール使用(床下や天井裏には使用していない)
床暖房なし
無線LANアダプタ親機(無線LANアクセスポイント)
NECアクセステクニカ製「AtermWR7610HV」(プロバイダレンタル)にNECアクセステクニカ製LANカード「WL54AG」を装着(802.11a/gは設定ページ上で切り替えての使用で、同時使用はできません)
送信出力 802.11a:8mW 802.11g:25mW(共に最大出力)
無線LANアダプタ親機の設置場所
2階浴室天井裏
無線クライアント(ノートPC)
DELL LatitudeC610 Pen3-1.2GHz 512MB
無線LANアダプタ:Intel PRO/Wireless 2915ABG miniPCI
OS:Win2000
ブラウザ:IE6.0(キャッシュおよび履歴は残さない設定)

調査方法は

  1. 電源OFFの状態からPCを起動して無線LANの接続が確認できるか
  2. 接続ができた場合は接続スピードの確認
  3. Yahoo!JAPANのトップページにアクセスして全て表示されるまでの時間を計測
  4. まだアクセスしていないページのリンクをクリックしストレスなく表示されるか

とします。

無線LANアダプタとなるIP電話アダプタは2階にある浴室天井裏に設置しています。従ってどちらかというと3階に近い位置ということになりますので2階と3階はまずまずの電波状態ではないかと予想します。

1階

1F

測定ポイント1(1F北側居室窓際)

通信規格 802.11a 802.11g
接続速度 54Mbps 24Mbps
電波の強弱 非常に良い とても良い

ここはアクセスポイントから若干遠いということもあって、802.11gでは通信が不安定になることがありました。IEを立ち上げても「表示できません」が出たり、Yahoo!ロゴが表示されたまま3分ぐらい進まなかったりと、信号の品質は「とても良い」とは言い難い状況です。

逆に802.11aでは安定した通信ができ、ほぼ2秒前後でページが表示されます。有線LANのような感覚です。

測定ポイント2 (1F南側居室窓際)

通信規格 802.11a 802.11g
接続速度 54Mbps 24Mbps
電波の強弱 非常に良い とても良い

測定ポイント1と同様、802.11gでは接続直後54Mでリンクするも、すぐに48M、36M、24Mとスピードが落ちてきます。PC間でのファイルコピーなどでは作業途中で「コピーすることができませんでした」という表示が出てしまい、使い勝手はかなり悪いです。

802.11aは54Mでのリンクが安定しており、使うなら11aだなという意識が強くなりました。

1階についての感想

アクセスポイントから遠いのが原因なのか11gの通信品質にやや難があり、11gでの運用はキツイものがあります。遠距離でも通信できるのが特徴の11gとしては不思議な現象です。11aが安定して使えるので11gを選ぶメリットは特にありません。

2階

測定ポイント3(2Fリビング中央)

通信規格 802.11a 802.11g
接続速度 54Mbps 54Mbps
電波の強弱 非常に良い 非常に良い

11a、11gともに54Mbpsを維持し安定した通信ができました。Yahoo!JAPANトップページから動画やゲームなどをしばらくやってみたが、両者ともに通信品質が落ちることはなく快適。やはりアクセスポイントが近い為であろう、これが本来の無線LANの姿です。

両者の違いはほとんどないものの1階の状況の影響なのか、なんとなく11aの方が速い気がします。多分気のせいでしょう・・・

2階についての感想

11a、11gとも何も問題なく通信ができ快適です。平面図で見るとアクセスポイントの位置がかなり端のほうにあるのがわかりますが、特に通信が悪くなる場所はありません。障害物の有無よりもアクセスポイントからの距離が重要な気がします。もっと中央に持ってくることができればより均一に電波が届くのでしょうが、簡単には移動することができないのでこのままで運用しています。

3階

3F

測定ポイント4(3F北側居室窓際)

通信規格 802.11a 802.11g
接続速度 54Mbps 54Mbps
電波の強弱 非常に良い 非常に良い

両者ともに特に問題なし。11gではIEでのページ表示にやや時間がかかる(約22秒)ことがあったが、気になるレベルではありません。初めてクリックするリンク先も2~3秒で表示が完了するのでストレスは感じません。

測定ポイント5(3F南側居室、娘の学習机の上)

通信規格 802.11a 802.11g
接続速度 54Mbps 54Mbps
電波の強弱 非常に良い 非常に良い

測定ポイント4同様、両者ともに差はなく最大スピードでリンクしそのままスピードを維持しました。少し長めに(約30分)動画コンテンツを再生させましたが、映像がコマ落ちしたり止まるようなことはありませんでした。思わず楽しんでしまいました(^^)

3階についての感想

当初予想したとおり、アクセスポイントから比較的近いということもあり実用に耐える、というか余裕すら感じられる接続状況です。無線LANは大いに使える、ということを強く感じました。

総評:建物の構造によるという条件付だが無線LANは実用上何も問題なし

かなりいいかげんな調査方法および結果で申し訳ありませんが、無線LANを導入してみての私の素直な感想として実用上特に障害になる要素は何もない、「使える」ということを感じました。「LANは有線」という思いは初期の無線LANのレベルの低さから導き出された思い込みだったんですね。今販売されている無線LAN機器はそれとは比較にならないほど性能がアップし、導入するリスクが低くなったという印象です。「今ごろ気づいたんか」と言われそうですが、目からウロコが落ちた調査となりました。

セキュリティが気になるところですが、不正アクセスを防止するセキュリティが最初から設定されていました。(128bitWEP:アクセスポイントIDとパスワードで接続制限する方式)アクセスポイントIDの隠蔽(ESS-IDステルス)とMACアドレスフィルタリング(LANアダプタが固有に持つ識別番号を登録することで許可しているアドレスだけ接続できる)を組み合わせれば問題ないと思います。セキュリティに不安があるって言うのは過去の話しみたいです。

無線LANアクセスポイントは11aと11g両方に対応しているものを

1階を調査した時の結果から、屋内での使用に限っては11aでの運用がいいですね。もしベランダや庭先でも使いたいということですと11aでは違法になってしまいますので11gを使わざるを得ませんが、両方に対応している機器を用意することで使い分けることができます。また11aと11gを同時に使用することができる機器もあるので複数の無線クライアントがある状況ではそういった製品を選ぶほうが利便性は向上すると思います。

私が今回導入した無線LANはプロバイダからレンタルしているIP電話アダプタ(ルータ内蔵)にカードを追加することで無線LANアクセスポイントになるものです。追加費用を低く押えつつ導入できること、1台で3役(IP電話アダプタ、ブロードバンドルータ、無線LANアクセスポイント)をこなすことで省電力、省スペースに貢献できることがメリットと言えます。

しかし、無線LANに特化した製品ではないので接続品質は導入する環境に大きく左右されるものと思われます。今回導入し調査したケースは「幸運」なケースではないかと思いますので、あくまで「参考」程度にしておいて下さい。

無線LANがこんなに使えるものだと認識してしまうとこのサイトの存在する意味が薄れてしまいますが、配線しなくて良いというのは大きなアドバンテージです。管理人として喜んでいいのか微妙なところです・・・(--;)ゞ