テニスボールは開封した瞬間から空気が抜けていく ような気がする
自分は趣味で硬式テニスをしていまして歴は長いけど頻度は低く、まあそれでも月イチぐらいは川崎市のコートを予約して友達と楽しんでいます。球技にはたくさん種類がありますが、ボールを追いかける動作というものはいくつになっても無理をしてしまうもので、その度にふくらはぎや太ももあたりにピキッと痛みが走ったりします。「ああ、無理はイカン無理はイカン・・・」同じことの繰り返し。ボールを取りにいかない勇気がほしいです。
さて、硬式のテニスボールは中に圧縮された空気が入っていて、新品は圧力容器(炭酸のペットボトルと同じ構造のもの)に密封されて販売されています。開封する時に容器の中の空気が抜けることになるんですが、ひとしきり使い終わりカゴ等に入れて次の機会まで保管すると、使っていない時も少しずつ空気は抜けていきます。で、空気の抜けたボールは弾まなくなり、ゲームに使うのはもちろん練習に使うこともできなくなります。もうこうなってしまうと捨てるしかなくなるのでかなりもったいない。表面はキレイでも弾まないボールは使い物にならなくなります。
何とかボールを長持ちさせたいと思いいろいろ調べてみると、新品の時に入っていた容器を加工することで新品の(容器に圧力がかかった)状態を保持できる事がわかりました。なんと画期的なことか!これでかなりボールの寿命を延ばせる事になります。
という訳で早速作ってみました。
材料
- ニューボールが入っていたペットボトル容器(4個入りがベスト)
- ねじ式掃除口(配水管部材)
- チューブレスバルブ(自動車用)
- 瞬間接着剤(耐衝撃タイプ)
拡大表示 |
新品のボールが入っていた容器です。 ダンロップ、ブリジストン、ウィルソン、HEADなど各社それぞれ販売していますが、容器のサイズはほぼ同じなので加工にはとても都合がいいです。4個入りのものがおススメ。 テニスコートが近くにあったら、週末の午後とかに行くと空のペットボトルがごみ箱に大量に捨ててあったりします。 |
---|---|
拡大表示 |
こちらは「ねじ式掃除口」という水道管(配水管)の部材です。ホームセンターで入手できます。 メーカーによって形・構造が違ってくるのですが、画像のものは「積水化学工業 型番NCO65」というものです。 |
拡大表示 |
「ねじ式掃除口」のフタを開けたところです。 フタの内側に「Oリング」がついていて、キッチリと密閉することができます。これまた好都合。 |
拡大表示 |
こちらはチューブレスバルブというもので、自動車のタイヤに広く使われています。 米式というバルブ形状で、米式に対応する自転車用空気入れを使うことで空気を入れることができます。型番はTR413。 |
拡大表示 |
分解すると、本体・コアバルブ・キャップの三つのパーツに分かれます。 チューブレスバルブ自体は300円程度です。 |
拡大表示 |
衝撃に強いタイプの瞬間接着剤(4g)です。 アロンアルファにも同様の製品があるのですが、コスパの良いプライベートブランドを選択しました。10gの物もあり、さらにコスパが高いです。 |
工具
- 電動ドリルドライバー
- スパイラルドリル14mm、スパイラルステップドリル27mm
- 電動ドリル用エクステンションバー
- コアバルブ用レンチ
細かいところでは養生用ブルーシートや掃除機といったところがあるといいです。
拡大表示 |
スパイラルドリル14mmです。右はスパイラルステップドリル28mm。下は電動ドリル用エクステンションバー300mmです。 使用方法は後述で。 |
---|---|
拡大表示 |
電動ドリルに装着するとこんな感じです。 ドリルビットをドリルに直接装着すると、ドリルのネック部分が邪魔になるのでエクステンションバーを使います。 |
拡大表示 |
チューブレスバルブの中のコアバルブを脱着するためのレンチです。 画像のような簡易型であればカー用品店かホームセンターなどで安価に入手できます。 |
拡大表示 |
チューブレスバルブにコアバルブがセットされていなければ、あらかじめコアバルブをセットしておきます。 カー用品店などで入手する場合コアバルブがセットされていないこともあるので、そういった場合はコアバルブ用レンチが必要になります。 |
作り方
拡大表示 |
まずは、ねじ式掃除口のフタ部分にバルブを設置するため、14mmのスパイラルドリルを使って穴を開けます。 ねじ式掃除口のフタを開けて逆さまにし、土台部分に載せます。中心から少しずらした場所にスパイラルドリルをセット。中心からずらすのは、フタが硬くて開かない時に溝にドライバーなどを入れて開けられるようにするためです。 |
---|---|
拡大表示 |
ある程度開いたら、フタをひっくり返して反対側から同様に穴を開けます。 反対側にバリができるので、それを削り取るようにします。 |
拡大表示 |
穴あけ終了。14mmの穴が開きました。 |
拡大表示 拡大表示 |
バルブを入れやすくするために、28mmのスパイラルステップドリルでほんの少しだけ穴を広げます。下図のようなイメージです。 あまり広げすぎるとバルブとの隙間ができて空気が漏れてしまうので注意です。 |
拡大表示 |
裏側からバルブを挿入してセットします。 結構固いので、バルブをネジりながら裏から押し、表から引っ張り入れるのがコツでしょうか。 |
拡大表示 |
裏からも見てバルブが隙間なくセットされているか確認します。 ここまででフタの穴あけとバルブのセットは終了。次の工程に移ります。 |
拡大表示 |
ねじ式掃除口のベース部分とペットボトル容器を接着します。 仮止めのために2ヵ所に接着剤を塗ります。 |
拡大表示 |
素早くペットボトル容器を載せて位置を合わせます。 接着剤を塗っていないところに指をあてて、ずれが無いように確認し暫く固定します。 |
拡大表示 |
そのまま20分ぐらいで固定され、仮止め完了。 ペットボトル容器を持って持ち上げると、接着できているはずです。 |
拡大表示 |
固定できたら、境目にぐるっと一周接着剤を塗ります。 塗り始めがどこだったかわからなくなるので、目印を決めて覚えておくといいです。乾燥は丸1日ぐらい掛けると完全に固定されます。 |
拡大表示 |
完成です。 慣れると結構簡単にできます。大量生産も時間は掛かるけど可能。 |
確認
拡大表示 |
保圧容器が出来上がったら、ちゃんと機能するか空気を入れて確認します。 空気を入れるためには米式バルブに対応する空気入れが必要になります。バルブに装着する部分が画像のようになっているものです。 |
---|---|
拡大表示 |
上部のレバーを起こしてバルブにセット。レバーを倒して装着完了です。 バルブと空気入れ先端に隙間があるとうまく空気が入らない構造になっています。完全に密着させます。 |
拡大表示 |
自分が持っている空気入れでは、4回入れることでパンパンになりました。 ペットボトル部分を指で押してみて、ヘコまないようなら容器として完成です。隙間から空気が抜けるようなら、抜ける部分に改めて接着剤を塗って固めます。 |
拡大表示 |
入れた直後は大丈夫でも1日経つと空気が抜けていることもあるので、翌日にも確認しましょう。 空気がどこから漏れているかわからない時は、水の中に沈めてみるか接着部分に石鹸水(泡タイプのハンドソープなど)を塗ってみると泡ができることがあります。 空気漏れのほかの原因としては
などがあるのでよく確認します。 |
拡大表示 |
空気が抜けて弾まなくなったボールを入れると凹むんです。 しばらく(2か月程度)このままにしておくと、いつの間にかボールが元の丸い状態に戻ります。そうなったら改めて加圧する事でさらにボールに空気が充填され、ある程度復活します。 |
拡大表示 |
この保圧容器、太さが大瓶の瓶ビールとほぼ同じなのでビールケースに収納することができます。たくさん作った時の収納方法としてうってつけ。管理しやすいように番号シールを貼ってみました。ビールケースは酒屋さんやコンビニで300円の補償金を払えば譲ってもらえます。 ただし、高さが瓶ビールより高いので上がケースからはみ出してしまうのが難点。ケースを重ねることができません。あと、このままテニスコートに持ち込むと「飲みながらテニスするのか!?」って勘違いされます。 |
練習やゲームなどでボールを打つことで徐々に空気が抜けていき弾まなくなるようになってしまうのは仕方のないことですが、それを遅らせることができるのならば作る価値はあると思います。テニスを趣味になさっている愛好家の方の参考になれば嬉しいです。
ただ、保圧容器を一つ作るのに最低でも600円程度かかってしまい「ニューボール買えるじゃん!」てなるんですけど、一回作ってしまえば繰り返し使えるのでこのコストをどう考えるかですかね。自分はまだキレイなボールを捨てるのが忍びないのでこの保圧容器を使ってボールの寿命をできる限り延ばしたいと思っています。
ノンプレッシャーボールという圧縮空気に似た素材が充填されている練習用ボールもあるんですが、打っているとやっぱり正規のボールとは少し違うんですよね。練習の時から正規のボールに慣れておくことでゲームでのパフォーマンスにつながると考えます。カッコつけすぎ??
使用した材料と道具
材料
St.JAMES
NCO65N