壁の中には広大な配線スペースがある
有線LANを設置しようとするとどうしても露出配線になってしまって見た目が悪い、また足とかドアに引っかかってしまって危ないといったことが良くあると思います。配線モールなどを使って部屋の隅に配線するにしてもどうも納得がいかない・・・と思うことがあります。
新築して間もない一戸建てであればなおさら露出配線はイヤだと誰もが思います。
大丈夫、埋込配線できます。天井裏や壁の中にケーブルを通して見苦しいケーブルを隠してしまいましょう。
一般的に部屋と部屋を仕切っている壁(間仕切壁)は壁の中が空洞になっていて、電源や信号線などの電線・ケーブルはそのスペースに配線されています。外壁になっている壁には断熱材が入っているので空洞ではないのですが、線を通すスペースがない訳ではありません。
このスペースを利用しない手はありません。十分配線できる空間がありますからチャレンジしてみて下さい。うまくいけば100%埋め込み配線でスッキリとLANが構築できます。やってみましょう!
では、順を追ってご説明いたします。
と、その前に・・・LANケーブルというのはパソコンショップなどでいろいろな長さのものが売っています。しかしどれもコネクタがついているので、壁の中を通す時にそのコネクタが邪魔になる場合があります。
ここではコネクタ無しのケーブルを先に通し、無事に通った後でコネクタをつけるという方法で作業します。よってコネクタをつける為に専用の圧着工具が必要になります。
ではケーブルをどこからどこまで通すのかイメージしてみます。例えばリビングの部屋の角にLANの口をつけたいのであれば、その場所に至るまでのルートを考えます。
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まず、家の中に天井点検口がないか探しましょう。 ユニットバスの天井にありました。ユニットバスには必ずついているようです。在来工法のお風呂にはない場合があるかもしれません。 天井点検口がない場合は新たに設置するという手もあります。天井点検口の設置方法をご覧下さい。 |
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天井点検口を開けて覗いてみます。 こんなかんじで配線が飛び交っています。このスペース(高さ約40センチ)を利用してケーブルを通していきましょう。 |
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たまたまかもしれませんが、電話線がちょうど浴室の天井裏部分から導入されていました。(オレンジ色の配管内に電話線が通っています) この配管を切ってモジュラジャックをつければADSLモデムが天井裏に設置できます。LANケーブルはHUBやADSLモデム、ブロードバンドルータなどに接続するのですから、そういった機器も天井裏にあったほうが好都合です。 ADSLモデムやルータはパソコンから設定するので手元に置いておく必要もないですから、別に不都合はありません。 |
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電話線が通っているCD管を切断し(中の電話線は切らない)ボックス及びモジュラージャックを取り付けました。 パナソニックの「らくワーク(DM801)」というボックスを木ネジで固定し、そこに取付枠にてモジュラジャックをつけています。 オレンジ色の配管(CD管)サイズは16です。黒い線は電波障害対策のためのCATVケーブル(同軸ケーブル5C-FB)です。 |
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ADSLモデムを設置しました。IP電話対応モデムなので各部屋にあるテレホンモジュラジャックにつながるようにもう一つモジュラジャックをつけてモデムから出る電話線を接続しています。(写真右上) 今のところパソコンを設置している部屋は1ヶ所なのでモデムからダイレクトに部屋までのLANケーブルをつなげていますが、HUBを設置すればここから各部屋へもっていくことができます。 |
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CATVブースタやBS・U/Vブースタがメンテナンスを容易にするために浴室天井内に設置されています。 余談ですが、LANケーブルと同時に同軸ケーブルも配線すればパソコンでテレビを見る、なんていう場合にも対応できますね。 |
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では、早速赤い矢印のところへLANケーブルを通してみましょう。 通線スチールを手を伸ばして矢印部分の壁内に落とし込みます。 |
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ケーブルを通す先(今回はリビング、写真右にある電話用モジュラのところに追加します)を開けます。 開け方は壁コンセントの仕組みをご覧下さい。 |
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こんなかんじです。 電話線が配管されたCD管の中に配線されているのがわかります。渡り配線なので上から降りてきてモジュラージャックに接続され、さらに次のモジュラーへ接続するための電話線が下のCD管へと向かっています。 |
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埋込ボックスを固定している木ネジを外し、ボックスを外します。 ボックスにCD管が接続されているので、外してもそれほど動かすことはできませんでした。 |
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通線しやすいように、ルート上にある2個用ボックス(赤い丸部分)も外しておきます。ここについているボックスは後付け用のパネルボックス(ミライ工業製)です。 |
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通線用スチールを目的の場所まで挿入します。 画像で通線用スチール(らせん状の黒い線)が入っている真下にコンセントとボックスを外した穴があります。 |
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無事、通すことができました。 と、簡単に書いてますが、一人作業だったので結構通すのに苦労(約30分程度)しました。埋込ボックスには線を通す穴があるのですが、その穴に通線用スチールを通してから外に出しています。 |
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LANケーブルを通線用スチールに接続します。 途中で取れないようにビニールテープでしっかり固定します。 |
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点検口側から通線用スチールを引っ張って、LANケーブルを通していきます。ゆっくり引っ張っていきましょう。 強く引きすぎるとLANケーブルが伸びてしまって通信性能を落とすことになりますので無理な力はかけないように。 |
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引く抵抗を感じたらケーブルが入っていく個所を見に行きましょう。大抵ねじれて入らなくなっていたりします。2人(引っ張る人と、押し込む人)で作業するととてもスムーズにいきます。 頭が見えてきました。 |
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適当な長さまで引っ張ることができたら、通線用スチールからLANケーブルを取り外して圧着工具にてコネクタを付け、モデムやHUBなどに接続します。 LANコネクタの圧着方法はLANケーブルの作り方をご覧下さい。 |
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リビング側の処理をします。 パナソニックの配線器具、埋込情報モジュラ「ぐっとす」(型番:NR3160W)を使います。この製品の詳しい解説はLANコンセントのページでしていますのでそちらもご覧下さい。 |
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色分け通りに導線を接続するだけの簡単作業です。 以前の製品よりも格段に作業性が上がりました。とても接続しやすくなっています。 |
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余分な導線はカットします。 |
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取付枠にはめて固定します。特に難しい作業はもうありません。 取付枠については、取付枠の使い方をご覧下さい。 |
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2個用フェイスプレートを取付て完成です。 LANテスターがあればもちろんいいですが、パソコンをつないで通信できればOKです。 |
今回は同フロアにおいての通線でしたので、そんなに手間が掛からず終えることができました。建物の構造によっては後からでも十分埋め込み配線ができるということがお分かり頂けたと思います。
このケースではLANケーブルを直に配線しましたが、CD管を配管してから配線するということもできると思います。配管をしてしまったほうが、後のメンテナンスを考えると好都合です。
ここでご紹介している中で使用しているケーブルはカテゴリー5eのUTP、単線仕様です。壁の中や天井裏に通すLANケーブルはUTPケーブルの単線仕様が一般的で、安い、長く通線しても通線性能が良いという特徴があります。(というか本来LANケーブルはそれで当然です)
LANケーブルについてはLANケーブルのページで種類や用途などを詳しくご紹介しています。あなたのLAN環境に合わせて最適なケーブルを選ぶようにしましょう。
工具についてですが、最初はある程度の工具が必要になります。
あとは、ニッパー、カッター、ドライバーぐらいですのでこの辺は既に持っている方も多いと思います。それぞれの工具について詳しくご紹介していますのでそちらも参考にしてみて下さい。
資材費は掛かりますが人件費はないのでかなり安上がりです。ここでご紹介したような工事を依頼した場合、材料費込みで最低10,000円ぐらいすると思いますが、自分で工事すれば材料費としての約2,000円(LANケーブル、LANコンセント、RJ-45プラグおよびプラグカバー、フェイスプレート)でできます。つまりほとんどが人件費なのです。また自分の納得がいくように配線できるのでゼッタイ自分で工事することをオススメします。あなたにもできます。参考にしてみて下さい。
LAN用圧着工具をお求めでしたら、サンワサプライのHT-500Rをオススメします。同社製カテゴリー6完全対応のRJ-45プラグを使用することにより容易にカテゴリー6ケーブルが自作できます。もちろん従来のカテゴリー5およびカテゴリー5eケーブルも作成可能。値段は少々高めですがこれ1本あれば間違いはありません。ギガビット時代にも対応できる工具でお住まいの情報化を。